大坂鴫畑の鹿島人形'11

君津市大坂鴫畑(おさか・しぎはた)地区
毎年九月九日に行われる行事で、各戸(十二戸)から“金毘羅さん”に集まって、等身大の武者人形・男女一対を作ります。この人形は鹿島人形と呼ばれ、以前は麦藁で作っていましたが、麦を栽培しなくなり麦藁の確保が難しくなったため、現在は稲藁で作ります。男の人形はちょん髷姿で刀を差し、手には槍を持っています。女の人形は髪を結い、刀を差し薙刀を手にしてます。大きさは、男女共に身の丈六尺(約180cm)。男女とも鉢巻をし、腰には腰みのを付けます。出来上がった人形はむら境の“金毘羅さん”と呼ばれる場所に立て掛けます。人形の胴体と手足にコブ(ダンゴ)を作ります。この中に各家々から持ち寄った“しんこ団子”を詰め込み、それを子供達が取って食べます。この団子を食べた子供は病気にかかりにくいといわれています。この行事は、鹿島さまの神戚を借りて村内への流行病や悪霊の侵入を防ぐとともに五穀豊穣を願って行われてきました。隣接する鹿ノ畑でも同じような行事が行われています。

大坂鴫畑の鹿島人形

昔は農家の庭先で鹿島人形を作っていたが、時代の変化と共に奉納場所での作業となってしまった。世間話をしながら、藁を結い綱を作り、人形の胴体を作っている。人形作りの作業を終えると、その場を片付けて小宴会となる。その後、各戸から持ち寄った団子を“風除け・無病息災・家内安全・悪魔阻止”を祈りながら鹿島様へ差し上げる。また、以前は夕暮れになると、子供達が集まり「鹿島が勝った、鬼負けた」と言った囃子言葉と共に鹿島人形を運んだ。供える団子は本来、隠しながら誰にも見つからないように鹿島人形に与えた。現代は少子化のためか少し変化している。“金毘羅さん”に立て掛けられた鹿島人形は朽ち果てるまで、その場を動かすこと無く、村落を守り続ける。翌年九月九日に一年間村を守ってくれた、鹿島様から新しい鹿島様へと跡継ぎをする。(約三〇〇年程前からの民俗行事)

奉納日:毎年九月九日 13:00-16:30
伝承地:千葉県君津市大坂鴫畑 金毘羅さん